犬の避妊・去勢手術について
2022/03/08
犬の避妊・去勢手術をすべきかどうか悩まれている飼い主様から、避妊・去勢についての質問を受けることが多くあります。
悩んでいるうちに期を逃し、ワンちゃんももう中高齢になってしまった飼い主様も多いのではないでしょうか?
そこで、去勢・避妊手術のメリット・デメリットなどをご説明致します。
悩まれている飼い主様の助けになればと思います。🐺
メリット
・精巣腫瘍・前立腺肥大・会陰ヘルニア・肛門周囲腺腫などの病気を予防できる
精巣を摘出するので、精巣の腫瘍は起こらなくなります。特に潜在精巣(陰嚢内に精巣が降りてこない状態)の子は去勢しないと
精巣腫瘍になる可能性が高くなるので、去勢手術の実施が推奨されます。
また、前立腺肥大・会陰ヘルニア・肛門周囲腺腫などの中・高齢になると起こりやすい性ホルモン関連性の病気も予防できます。
・マーキングの予防
縄張り意識によるマーキング行動の抑制になります。ただし、マーキングが習慣化してしまった後に去勢手術をしても
マーキング行動をなくすことが難しい場合があります。
・ストレスの緩和
去勢をしていないオス犬はメス犬を求めますが、人間社会で暮らす犬はその欲求が十分に満たされることはないため、
ストレスを感じてしまいます。それにより、攻撃的になったり落ち着きがなくなったりと、問題行動に繋がる恐れがあります。
デメリット
・太りやすくなる
よく知られていることですが、ホルモンバランスの変化で太りやすくなります。
ただ、去勢済の犬用のフードに変えたり、食事量を調節することで肥満は防ぐことができます。
・手術・全身麻酔のリスク
手術自体は短時間の比較的安全な手術ではありますが、どうしても全身麻酔が必要です。
どんなに健康な子でも100%安全とは誰にも言えません。しかし、麻酔技術と設備が発達した現代では、命に関わるようなトラブルは
ほとんどありません。
メリット
・卵巣子宮の腫瘍や子宮蓄膿症の予防、乳腺腫瘍の発生率を下げることができる
避妊手術(卵巣子宮摘出術)によって、卵巣子宮に関連するほとんどの病気を防ぐことができます。
特に、子宮に膿が溜まる子宮蓄膿症は治療が遅れると命を落としてしまう恐ろしい病気なので、これを予防できることは避妊手術の
大きなメリットです。
乳腺腫瘍は、中高齢の雌犬に好発する、約半分が悪性(癌)で約半分が良性の腫瘍です。
初回発情が起こる前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生率を大幅に減らすことができます。
初回発情前に避妊手術を行うと0.05%、2回目発情前だと8%、それ以降の避妊手術だと24%の発生率と言われています。
・発情出血が無くなる、発情期のストレスを軽減できる
発情期の偽妊娠(妊娠していないのに巣作り行動をしたり攻撃的になってしまう症状)や食欲減退を避けることができます
・望まれない出産の回避
デメリット
・太りやすくなる
オスと同様、太りやすくなりますが、適切な食事管理・運動管理で肥満は予防できます。
・尿失禁
メスの場合、ごく稀に尿失禁(尿漏れ)をしてしまうことがあります。
(大型犬のほうがリスクが高いと言われています)
・手術・麻酔のリスク
オスと同じく、全身麻酔のリスクは避けられません。
また、メスの場合開腹手術になるため、オスと比べると侵襲性の高い(身体的ダメージの大きい)手術になります。
【手術のタイミングについて】
去勢手術も避妊手術も生後6ヶ月齢頃に行うことが多いです。
その理由としては、
・身体が大きくなり内臓機能も整う頃なので、麻酔のリスクが低い
・乳歯遺残(永久歯が生えても乳歯が残ること)かどうかの判断ができるのが6ヶ月齢前後
永久歯が生えても抜けなかった乳歯は、全身麻酔下で抜歯する必要があります。
避妊去勢手術と同時に行うと一度の全身麻酔で済みます。
・メスの場合、初回発情の前である
オスの場合、マーキングなどの行動がみられる性成熟の前である
このように、避妊去勢手術はデメリットよりもメリットのほうが高いため、当院では避妊去勢手術を推奨しております。
このタイミングを逃した場合も、若い子ほど傷の治りが速く全身麻酔のリスクも低いため、早期の避妊去勢手術をおすすめします。
何かわからないことがありましたら、お気軽にお尋ね下さい🐶
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ラミナ動物病院
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